メンタルヘルスの杜




2009/05/02

定型うつ病と非定型うつ病



非定型うつ病。
うつ病全体の中で約3割に該当していると言われる若年層の女性に多いのが特徴で、うつ病に比べ治療に時間がかかり中には年齢的に40代を過ぎても症状を持ち越してしまうケースもあるとか・・・。
よく聞かれるうつ病と、何が違うのか?・・・
典型的な症状を学んでみますと、逆パターンとなる事が多いのに気が付きます。
うつ病の場合

* いつも元気がない
* 食欲が落ち体重が落ちる
* 不眠を伴う



非定型うつ病の場合

* 何か楽しいことがあると一時的に元気になる
* 過食気味で体重が増える(著しく・・)
* 眠っても、眠い(過眠)



さらに・・・周囲のとるべき対応に関しても逆パターンとなることが多いのです。
うつ病の場合

* 頑張れとは言わない
* 励まさない
* あくまでも優しく接する


非定型うつ病の場合

* 少しは頑張らないといけない
* 少しは励ます必要がある
* 優しく接するが、心は厳しく(あくまでも・・ではいけない)



どうでしょう・・・、家族としては表面的に大差ない印象の言動や態度であるように感じても専門的に捉えてゆくと細かな部分でその違いに気付くのです。
非定型うつ病に対する日常の心掛けとして、
生活のリズムを正常化し、軽い有酸素運動。すなわちウオーキング等の比較的軽度の運動習慣、例えばこれ・・愛犬の毎日の散歩などもうってつけかもしれませんね。
決まった時間に散歩に出かける習慣にすれば、犬の方も決まった時間に散歩をオネダリしてきますからね。
ついつい怠けてしまいそうなところを愛犬の為にと理由付けすることにより継続するモチベーションとする。これもひとつのアニマルセラピーと運動習慣のW効果を得れるかもしれません。
それから、一日単位で小さな目標をたてて達成する。そう・・小さな達成を積み上げてゆくんですね。

非定型うつ病・・・。
最近になって定型うつ病とは別の枠組みで認識されてきた模様であり、さらに深く学んでみようと思っています。


2009/04/29

モラールサーベイとは

モラールサーベイとは、主にアンケート形式による従業員意識調査です。それはまた、従業員満足度調査とも言われており様々な角度から職場環境や管理監督者に対する従業員の“胸の内”を調査することにより、その結果を用いて業務の効率化や生産性の向上に結び付けようとする狙いがあります


2009/02/14

縁を生かすというお話

メンタルヘルス・ウェブログ

以下、縁を生かすというお話です。
一見して印象の悪い生徒の担任となった、ある女性教諭。先入観で、その生徒を評価してしまいながらも、あるきっかけをもとに深い悲しみを背負って懸命に生きている少年の本当の姿と直面してしまう・・・。

人は決して一人では生きてゆけないものなのでしょうが、
と、同時に決して独りきりでもないということであり・・・
出会いの無い人生はなく、人は生きていく中で様々な人物と出会い、その出会いのひとつを縁と言うならば人生は人とのかかわりあいによって幸せにも不幸にもなるのだなと感じます。
「縁を生かす」
その先生が5年生の担任になったとき、一人、服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年がいた。 中間記録に先生はその少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。
あるとき、少年の1年生からの記録が目に留まった。
「朗らかで、友達が好きで、人にも親切。勉強もよくでき、将来が楽しみ」とある。
間違いだ。ほかの子に違いない。先生はそう思った。

2年生になると、
「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」と書かれていた。

3年生では
「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」

3年生の後半の記録には「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」とあり、

4年生になると
「父親は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子供に暴力をふるう」

先生の胸に激しい痛みが走った。ダメと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に立ち現れてきたのだ。先生にとって目を開かれた瞬間であった。

放課後先生は少年に声をかけた。
「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?わからないところは教えてあげるから」

少年は初めて笑顔を見せた。
それから毎日、少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。
授業で少年が初めて手を上げた時、先生に大きな喜びが沸き起こった。
少年は自信を持ち始めていた。

クリスマスの午後だった。少年が小さな包みを先生の胸に押し付けてきた。
あとで開けてみると、香水の瓶だった。亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねた。雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、気がつくと飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫んだ。
「ああ、お母さんの匂い!今日はすてきなクリスマスだ」

6年生では先生は少年の担任ではなくなった。
卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。
「先生は僕のお母さんのようです。そして、いままで出会った中で一番すばらしい先生でした」

それから6年。またカードが届いた。
「明日は高校の卒業式です。僕は5年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することことができます」

十年を経て、またカードがきた。そこには先生と出会えたことへの感謝と、父親に叩かれた体験があるからこそ患者の痛みがわかる医者になれると記され、こう締めくくられていた。
「僕はよく5年生の時の先生を思い出します。あのまま駄目になってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、5年生の時に担任してくださった先生です」
そして一年。届いたカードは結婚式の招待状だった。
「母の席に座ってください」と一行、書き添えられていた。




2009/02/08

家族がうつ病になった時

メンタルヘルス・ウェブログ

家族がうつ病を患った時あなたは、どんな行動を起こすことができるのか?世の中には医療機関を筆頭として、心理療法や復職支援、公的なセーフティネット、相談機関等々・・・患者に対するケアは無数に存在していますが周囲の人々、つまり家族を主な例として周囲の人々に対するケアや日常のケアスキルに関する情報量は、まだ手探りの域をでたばかりかもしれません。うつ病や統合失調症に代表される精神疾患は決して他人事ではなく、現代のストレス社会の中ではメンタルヘルスケアがいかに人々の幸せで平凡な「暮らし」に必要なものであるかは、このブログのポリシーにも共通する箇所であります。

さて過去に私自身が、ある人物・・川田さんという方の「笑顔の水道哲学」というPDF文書をダウンロードして読ませていただきました。そして今、再読したところであります。
川田氏は、家族が精神疾患を患った事を機に、御自身がその患者である奥様を支えたきたという経験を踏まえて、精神病患者をケアする為の心技体について説かれていらっしゃいます。
支える側の人間として心で悩み、体で頑張り、技術で対処する・・・。この心技体のいづれが欠けても完治というゴール迄家族全員で踏破することができないと・・・。私も、症状の度合いは別としても置かれた環境は酷似するものがありましたので何年も前から、ブログを中心として川田氏の発信する様々な情報に触れてまいりました。

この「笑顔の水道哲学」には、うつ病の患者を支える立場としての多くの気付きが隠されており、仮に「うつ病」と特定しないにしても心の病気に対する周囲の人間の考えるべきヒントが多数記されています。当然ながら心の病気に対して「ひとつの形」は無く、それぞれの環境に応じた情報の噛み砕き作業は必要ではありますが、有益な情報に触れることができますので読んで欲しい冊子であります。

ひとつひとつの心的付加は発病レベルではなくとも、それらが複合的に関与して入退院を繰り返す「患者」と「患者を抱える家族」へと変貌を遂げ家族の非常事態へと突入していった経緯に始まり、日常の暮らしの中で簡単に実践できる細やかな、うつ病家族としてのスキル。そして、うつ病になった原因を考えることなど何の意味も持たない!という前向きな姿勢。(何故、それが前向きなのかは文書から読み取ることができますし、この私自身も、その通りっ!と同感するところであります。)精神病という、こじれてしまえば心の風邪から末期がん並みの苦しみを負わされてしまう病魔に対して、向精神薬と本人の休養。そして、家族の力。

ふとした機会で再読してみると、新鮮なんですね・・・(苦笑)
新鮮に思うというのは、裏返すと私自身が日頃の患者へのケアで何度も何度も、いまだに愛情の先走りをしてしまう事があるからなんでしょうね・・・。そんな時にこの冊子を読み返してみて、また仕切りなおしするわけです。
うつ病の再発もプロセスのひとつ。希望は捨てずに期待はしない!
笑顔の大切さ・・・。
医者でもない私達の愛情という力は、まんざらでもありませんよ。

以下、冊子入手元
小冊子 家族がうつ病になったら
補足・・上記は改定版のようですが内容的には同等の読後感が得られると思います。


2008/04/28

改正労働安全衛生法・面接指導等に関する変更内容の詳細

メンタルヘルス・ウェブログ

面接指導等の対象者とは・・・
1.時間外、休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって、申し出を行った者については医師による面接指導を確実に実施すること。
2.時間外、休日労働時間が1月当たり80時間を超える労働者であって、申し出を行った者については面接指導等を実施するよう努めるものとする。
3.1の該当者を除き、時間外、休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者。又は、時間外、休日労働時間が2ないし6月の平均で1月当たり80時間を超える労働者については医師による面接指導等を実施するよう努めるものとする。
4.時間外、休日労働時間が1月当たり45時間を超える労働者で健康への配慮が必要と認めた者については、面接指導等の措置を講ずることが望ましい。

事業者の面接指導実施後の措置とは・・・
1.医師による面接指導を実施した場合は。その結果に基づき労働者の健康を保持するために必要な措置について、遅滞なく医師から意見聴衆するものとする。またその意見を勘案し、必要があると認めた場合は労働時間の短縮、深夜業の回数の減少など適切な事後措置を講ずるものとする。
2.前述の2.3.4の面接指導を実施した場合は上記1の事後措置に準じた措置の実施に努めるものとする。
3.面接指導等により労働者のメンタルヘルス不調が把握された場合は、面接指導を行った医師、産業医等の助言を得ながら必要に応じて精神科医等と連携を図りつつ対応するものとする。

面接指導等を実施するための手続き等の整備とは・・・
事業者は面接指導等を適切に実施するために、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等において以下の事項について調査審議を行うものとし、調査審議結果に対して必要な措置を講ずるものとする。
1.面接指導等の実施方法及び実施体制に関する事。
2.面接指導等の申し出が適切に行われるための環境整備に関する事。
3.面接指導等の申出を行ったことにより当該労働者に対して不利益な取り扱いが行われることのないようにするための環境整備に関する事。
4.時間外、休日労働が100時間を超える者以外が面接指導等を実施した場合、事業場においての必要な措置の基準の策定に関する事。
5.事業場における長時間労働による健康障害防止対策の労働者への周知に関する事。

事業者は、時間外、休日労働時間が100時間を超える者、80時間を超える者に対する面接指導等を実施するにあたる、実施方法ならびに実施体制に関する事項については
1.労働者が自己の労働時間数を確認できる仕組みの整備。
2.申出を行う際の様式の作成。
3.申出を行う際の窓口の設定。
等を掲げる必要があり、労働者が不安なく申出を行うことができうる環境設定という観点に沿って、その周知徹を図るものとする。

以上のように、1ヶ月100時間を超える時間外労働等をこなす労働者の良好なメンタルヘルスケアについては特に留意が必要とされていますが、医師による面接となると本人の申出という意思表示が必要となることが理解できます。そこで健全に申出を行うことのできる環境・・つまり申し出たことによって不利益が生じない、また個人情報について事業者側の取り扱いに関する安全な配慮があるといった環境整備が絶対に不可欠であるという実態が伺えます。急成長を遂げる企業の過酷な残業を余儀なくされる環境で、メンタルヘルス不全によるリタイアといった捉え方をされてしまうようでは一個人の人間性が損壊されてしまい、労働者の心の健康の保持増進とは程遠いものとなってしまいます。
事業場の労働者数に関係することなく、働きやすく風通しのよい職場環境の整備はこれからの時代、不可欠なものであると感じるところであります。